予防歯科

予防歯科とは?

予防歯科とは、歯が悪くならないようにする取り組み、歯が痛くならないようにする取り組みのことです。

歯医者さんというと、むし歯ができたら行く場所、歯が痛くなったときに行く場所という思い込みがあるかも知れません。でも、それはもう古い考え方です。

確かに、昔の歯医者さんはそういう場所だったと思います。なぜなら、日本の医療を支えている健康保険の仕組みがそうなっていたからです。

昔の健康保険の制度では「悪いところを削って詰める」ことしか、健康保険の利用が認められていませんでした。ですから、日本人の頭の中に「歯医者は歯が痛くなったら行くところだ」という意識がついてしまったのでしょう。

でも、現在の健康保険の制度はまったく違っています。歯の病気の「重症化予防」が、健康保険の最も重要なテーマのひとつに掲げられています。

「悪くならないように歯医者さんに通う」
「痛くならないように歯医者さんに通う」

これが今の時代に必要な、新しい歯医者さんの利用法なのです。

年をとったら
歯が悪くなるものでは?

とはいえ、「年を取ったら歯が悪くなるのは当たり前だ」と思っていらっしゃる方も、たくさんいらっしゃることでしょう。そして、今の日本の現状では、確かに通りです。

厚生労働省が公表する『歯科疾患実態調査』のデータを見ても、やはり年齢を重ねるごとに自分の歯は少なくなっていっていくのが実情です。

2018年の調査でも、自分の歯は40~44歳で28.0本あるのに対して、75~79歳で18.0本、80~84歳では15.3本まで少なくなっています。この結果だけを見れば、歳をとったら歯が悪くなるというのは当然のことのように思えるかも知れません。

しかしながら、この数字は以前と比べてかなり改善してきました。1993年の調査では、75~79歳時点の平均的な自分の歯の数は5.9本でしたが、2018年には18.0本まで増えています。

このデータを見れば、ただ単に年齢のせいとは言えないことがよく分かりますよね。そして、健康保険の制度が「重症化予防」にシフトしてきたことで自分の歯を残せる方が増えてきたということもよく分かります。

予防に取り組むことがいかに大切なことか、とても分かりやすいお話です。

どんなことをするの?

あなたは「8020運動」という言葉を聞いたことがありますか?

これまでの研究結果から、永久歯28~32本のうち20本の歯があれば、ほとんどの食べ物をしっかり噛んで食べられるということが分かっています。そこで、「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という運動が8020運動です。

2018年の『歯科疾患実態調査』では、約51%の方がこの8020を達成しているというデータが示されました。

ここまでのお話を読んでいただけば、あなたもご自身の取り組み次第で8020を達成することができるということが分かったと思います。

では、具体的にどんなことをすれば良いのか?

それは、毎日の歯みがき・・・というのはもちろんです。ただ、それだけでは不十分。毎日の歯みがきに加えて「歯科医院での定期健診(メンテナンス)」を受けることが重要です。

具体的には、あなたの歯の状態に合わせて1~3ヶ月ごとに歯科医院に通って、次のような予防プログラムを実施します。

さかもと歯科医院のメンテナンス

1:歯とお口の健康チェック

あなたの状態によって、1ヶ月~3ヶ月ごとに歯とお口の健康状態をチェックします。むし歯や歯周病の状態を前回と比較するなど、病気が進行していないかを確認いたします。

2:歯とお口のクリーニング

むし歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除きます。
実は毎日の歯みがきだけでは、100%歯垢や歯石を取り除くことはできません。これは、私たち歯科医療従事者でも不可能です。そこで、日頃の歯みがきでは取り除くことができない歯垢や歯石を歯科医院で取り除きます。
歯を削るわけではありませんので、痛みを感じることはほとんどありません。むしろ、気持ち良いという患者さまがほとんどですし、クリーニングが終わった後のお口の中は爽快感がありますよ。

3:歯みがきのアドバイス

毎日の歯みがきについて、より効果的に行うためのアドバイスをします。歯ブラシや歯磨き粉の選び方、あなたの状態に合わせた適切な歯のみがき方、みがき方のクセの改善など、丁寧にアドバイスいたします。

悪くなったら治療をする…
という悪循環から卒業を!

歯は、一度悪くなったら二度と元どおりに戻すことはできません。

むし歯の「治療」と言っても、より正確な言い方をすれば、むし歯になった部分を削って人工の詰め物や被せ物で修復しているだけです。元どおりの自分の歯に“近い状態”になっているだけで、自分の歯が元どおりに戻ったわけではありません。

それは例えるなら、転んで擦り傷ができてしまった部分を手術で取り除いて、金属でできた人工の皮膚などをつけているようなものです。そう考えると、悪くならないようにすることがいかに重要なことか、よく分かると思います。

それに、一度でも悪くなったことがある部分というのは、また悪くなる可能性が高い部分でもあります。なぜなら、毎日の歯みがきだけでは十分にケアできていない場所だからです。

また、悪くなった部分を人工の詰め物や被せ物で補うと、どうしてもデコボコができます。人間の目には見えなくても小さな細菌にとっては大きなデコボコですし、そこは細菌の住みつきやすい場所になってしまいます。

このことから考えても、やはり一度でも悪くなった場所というのは、また悪くなる可能性が高いということがよく分かると思います。

つまり、悪くなったら治療ということを繰り返していくと、歯はどんどん悪くなってしまうということです。そして、最後には歯を抜かなければならないという最悪の事態にもなりかねません。

そんなことにならないように、これからは歯医者さんを「痛くならないように」「悪くならないように」利用していただきたいのです。